求人票では、訪問・記録以外に「営業活動」「地域連携」が業務範囲に含まれるかも確認しましょう。新規利用者の獲得を誰が担当するのかによって、PT・OT・STの仕事内容は変わります。
同じ訪問看護への転職でも、どちらを選ぶかで日々の仕事は変わります。さらに、営業を担当することと、新規利用者の獲得ノルマがあること、訪問件数に目標があることは、それぞれ別の話です。
この記事では、訪問看護ステーションで働くPT・OT・STに絞って、営業の仕事内容と、ノルマ・目標・インセンティブの違いを整理します。応募先の説明をどう読み取り、面接で何を確認すればよいかまで見ていきましょう。
訪問看護のPT・OT・STも営業をする?
営業を担当するかどうかや、その担当範囲は、応募先ごとに確認する必要があります。
転職先を探すときは「訪問看護なら営業があるはず」「リハ職だから営業はしないはず」と考えず、応募する職種の業務内容を確認することが出発点です。
リハ職が担当する営業とは、具体的に何をする仕事?
ここでは、採用情報で示される対外的な活動を、目的の違いから整理します。同じケアマネジャーへの連絡でも、新規利用につなげる案内と、担当利用者さまの支援に必要な報告は区別して考えましょう。
事業所の対応内容や受け入れ状況を伝える
営業を担当する場合の一例が、居宅介護支援事業所などを訪れ、自分たちのステーションが提供できる支援を説明する仕事です。
説明内容としては、訪問できる地域、受け入れ可能な曜日、在籍する職種、対応できる領域などが考えられます。PT・OT・STが関わるなら、職種名を伝えるだけでなく、生活上のどのような困りごとを相談してもらえるのかを説明すると具体的になります。
たとえば、OTの支援を説明する場面では、調理の再開や服薬管理の工夫などを例にできます。STなら、食事やコミュニケーションの課題について、どのような相談に対応できるかを伝える方法があります。
ただし、実際に提供できない支援まで約束してはいけません。担当者の経験やステーションの受け入れ体制を確認したうえで、正確な情報を伝える必要があります。
新しい相談先との関係をつくる
すでに連携しているケアマネジャーへの挨拶と、初めての事業所を訪れて案内する仕事では、準備や心理的な負担が違います。
求人票に「地域連携」とだけ書かれている場合は、既存の関係先への連絡なのか、新規の事業所への訪問なのかを確認しましょう。電話での案内や資料作成まで担当するのかも、職場選びの判断材料になります。
また、先輩や管理者との同行から始めるのか、訪問先を自分で探すのかによっても、求められる役割は変わります。「営業あり」という一言だけでは、仕事内容を十分に判断できません。
担当利用者さまの報告は、新規獲得の営業とは別
担当している利用者さまの状態や生活上の課題を、ケアマネジャーや看護師へ伝えることは、支援を進めるための連携です。
たとえば、自宅での移乗に必要な介助量が変わったことや、福祉用具の見直しが必要なことを共有する場合です。厚生労働省は、医療保険の訪問看護について、PT・OT・STが提供する内容も含めた計画書・報告書を、看護職員と連携して作成するよう示しています。[1]
したがって、「営業なし」の職場でも、多職種への報告や相談がなくなるわけではありません。新規利用者の獲得業務を避けたいのか、対外的なやり取り全般に不安があるのかを、自分の中でも分けておくと求人を選びやすくなります。
「ノルマ」「訪問目標」「インセンティブ」は同じではない
求人の説明を読むときに、混同しやすいのがこの3つです。ここでは、働き方を比較するために次のように整理します。各事業所が同じ名称や定義を使っているとは限りません。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 営業目標 | 新規相談・契約など、何をどれだけ求められるのか |
| 訪問目標 | リハビリ提供の件数・時間など、業務量の目安は何か |
| インセンティブ | どの実績に対し、どの条件で追加手当が出るのか |
新規利用者を獲得する仕事がなくても、訪問件数の目安が設定されていることは考えられます。また、訪問件数の目標と、追加手当が発生する基準が一致するとも限りません。
つまり、「営業なし」と「インセンティブなし」は別の条件です。手当制度があるだけで、厳しい営業ノルマがあると判断することもできません。
名称より、達成できなかったときの扱いを見る
応募先が「ノルマではなく目標です」と説明していても、それだけでは判断できません。
未達のときに担当配分や訪問ルートを見直すのか、人事評価に反映するのか、追加の営業活動を求めるのかを聞いてみましょう。個人単位の目標なのか、ステーション全体で共有する目標なのかも重要です。
特に、インセンティブが支給されないことと、契約上の基本給が減ることは分けて確認してください。賃金の決定・計算方法は労働条件として確認する事項です。[2]
「目標」という名称でも負担を感じる運用はあり得ますし、数字を共有していても無理のない業務調整に使っている職場も考えられます。見るべきなのは言葉ではなく、その数字をどう扱うかです。
訪問件数の数字だけでは負担を判断できない
「1件」の数え方と、訪問以外の時間を確認する
月の目標件数を比較するときは、実際の訪問回数なのか、訪問時間を換算した数字なのかを確認しましょう。歩合制度がある場合は、件数と実績時間のどちらを基準にするのかも確認が必要です。
加えて、同じ件数でも、移動距離や記録に必要な時間が違えば負担は変わります。営業を兼ねる場合は、その時間も一日の中に組み込む必要があります。
たとえば、午前・午後とも訪問予定が詰まっている日に、別途複数の事業所への挨拶を求められるなら、いつ記録や営業準備を行うのかが気になります。
面接では標準件数だけでなく、営業がある日のモデルスケジュールも見せてもらうと、業務の配分を具体的に確認できます。
キャンセルや担当配分をどう考慮するか
利用者さまの入院や予定変更などで訪問が減ったとき、目標や評価をどう調整するのかも聞いておきたい点です。
本人が訪問を希望していても、新規の依頼や担当の割り振りがなければ件数は増えません。勤務日数や担当する地域、利用者さまの状態が異なるスタッフを、同じ数字だけで比較してよいとも限りません。
入職直後の担当が少ない期間と、十分に担当を持ったあとの評価が同じなのかも確認しましょう。特に未経験者は、業務に慣れるまでの期間にどの程度の実績を求められるかを把握しておくことが大切です。
営業がある職場で、特に見ておきたい3つのこと
営業と臨床を両立できる時間配分か
営業に関わること自体より、訪問・記録・連携を終えたあとに、際限なく仕事が追加されないかを確認しましょう。
営業先の選定、資料の準備、移動、訪問後の報告にも時間が必要です。「空いている時間でお願いします」という説明なら、具体的にどの時間を使う想定なのかを聞いておくとよいでしょう。
営業を担当する時間が増えた場合に、リハビリの訪問目標は調整されるのかも重要です。両方を担当するのに評価は訪問実績だけ、という条件では、役割と評価の釣り合いを慎重に考える必要があります。
利用者さまに必要な支援を優先できるか
訪問看護は、主治医が必要と認めた方に提供されるサービスです。厚生労働省は、医療保険の訪問看護について、利用者さまの希望や心身の状況、主治医の指示などを踏まえて計画を作成するよう示しています。[1]
そのため、職員の目標件数を満たすことだけを理由に、利用者さまへ訪問の追加や継続を勧めるべきではありません。
状態に応じて訪問頻度や時間を提案することと、数字のために利用を増やそうとすることは別です。転職先では、リハ職の評価を踏まえて、頻度の見直しや終了もチームで相談できるかを確認しましょう。
営業先に対しても、できることを誠実に説明できる環境かが大切です。自分や事業所が対応できない内容を、依頼獲得のために約束するよう求められる場合は慎重に考えてください。
未経験者への同行と相談先があるか
臨床経験があっても、事業所を訪れて自分たちの支援を説明する仕事は初めて、という方もいるでしょう。
営業経験がないことだけで向いていないと決める必要はありません。ただし、いきなり一人で回るのか、管理者に同行して説明の仕方を学ぶのかでは始めやすさが変わります。
案内資料が用意されているか、答えられない相談を誰へ持ち帰るか、受け入れ可否を誰が判断するかを確認しておきましょう。分からないことをその場で約束しなくてよい体制が必要です。
営業が苦手なPT・OT・STは、どう職場を選ぶ?
まず整理したいのは、「何が苦手なのか」です。
初対面の事業所へ訪問することに抵抗があるのか、新規契約の数字を求められることが苦手なのか、臨床の時間が減ることを避けたいのかで、選ぶ条件は変わります。
新規開拓は避けたい一方、担当利用者さまについての報告や相談は丁寧に行いたい、という希望も自然です。その場合は、新規獲得営業を誰が担当するのか、リハ職の業務範囲に含まれるのかを応募先に確認しましょう。
営業にも関わってみたい方なら、地域にどのような相談や生活課題があるのかを知る機会として考えることもできます。ただし、希望する役割と実際の業務量が合うかは別に確認しましょう。
営業の有無だけで職場を良い・悪いと判断せず、自分が担いたい仕事の範囲と合っているかを見ることが大切です。
面接では「営業はありますか?」から一歩踏み込んで聞く
最初は、「リハ職が担当する営業や地域連携には、具体的にどのような業務がありますか」と聞くと内容を整理しやすくなります。
営業がある場合は、既存の関係先への挨拶なのか、新規開拓まで含むのかを確認します。そのうえで「月にどの程度の時間を使い、誰と回るのでしょうか」と聞けば、担当範囲と頻度が見えてきます。
目標については、「新規相談の件数と、リハビリの訪問件数には、それぞれ個人目標がありますか」と分けて質問しましょう。「未達の場合はどのように振り返りや評価を行いますか」と続けると、数字の扱いを確認できます。
営業への不安を伝えるなら、次のような言い方ができます。
「これまで新規開拓の営業経験はありません。担当利用者さまについての報告や、多職種との相談は大切にしたいと考えています。新規の事業所への案内を担当する場合、同行や研修はありますか。」
無理に「何でもできます」と伝える必要はありません。できることと支援が必要なことを分けて伝え、応募先の期待とすり合わせましょう。
最終的な業務内容と給与条件は書面でも確認する
面接で納得できても、契約時の確認は別に必要です。厚生労働省は、業務内容やその変更範囲、労働時間、賃金などの条件を確認するよう案内しています。[2]
「営業なし」と説明された場合でも、入職直後だけの扱いなのか、将来の役割変更まで含むのかを聞いておくと認識のずれを減らせます。目標や評価制度に関する詳細は、労働条件通知書に加え、給与規程や評価の説明資料で確認しましょう。
契約や賃金の扱いに疑問が残る場合は、労働局の相談窓口や弁護士・社労士への確認をおすすめします。
まとめ|営業の有無より、仕事内容と評価の仕組みを確認しよう
訪問看護のPT・OT・STが営業に関わるかどうかや、その担当範囲は、応募先ごとに確認が必要です。新規獲得営業の担当者と、リハ職に求められる役割を分けて把握しましょう。
ただし、営業がなくても訪問実績の目標やインセンティブがある場合はあります。新規獲得、訪問業務、給与評価を分けて確認することが大切です。
応募先を比較するときは、営業の担当範囲と頻度、訪問との時間配分、未達時の対応まで具体的に聞いてみましょう。利用者さまに必要な支援を優先しながら、自分が納得できる役割で働けるかが判断の軸になります。
営業や訪問目標に不安があるPT・OT・STの方へ
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営業への関わり方、訪問件数の目標、評価の仕組みなど、求人票だけで判断しにくい条件を整理し、自分に合う職場を考えることから始められます。
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