当サイトでは、訪問看護ステーションでPT・OT・STが行うリハ職業務を「訪問看護(訪問リハ)」として扱います。
訪問看護の求人には、常勤だけでなくパート・非常勤の募集もあります。
病院勤務では週5日の常勤が当たり前だった方でも、訪問看護へ転職するタイミングで、子育てや介護との両立、副業、体力面などを考え、勤務日数を減らした働き方を検討することがあります。
訪問看護は利用者さまごとに訪問時間が決まっているため、ステーションによっては「週2〜3日」「午前のみ」「1日数件」といった働き方を選べます。一方で、給与の計算方法や移動・記録時間の扱いは職場によってかなり異なります。
時給だけを見て求人を選ぶと、「訪問していない時間は給与が出なかった」「キャンセルが続いて想定より収入が少なかった」といったギャップが生じることもあります。
この記事では、訪問看護でパート・非常勤として働くPT・OT・ST向けに、給与の仕組み、勤務日数、常勤との違い、求人選びで確認したいポイントを解説します。
訪問看護のPT・OT・STはパート・非常勤でも働ける?
訪問看護ステーションでは、PT・OT・STをパート・非常勤として採用している事業所があります。
実際の求人を見ると、週数日の勤務だけでなく、短時間勤務や曜日固定など、さまざまな募集があります。
パートだから仕事内容が大きく変わるわけではありません。利用者さまの自宅を訪問し、身体機能や生活動作を評価し、必要なリハビリを提供するという基本的な役割は常勤と同じです。
PTであれば歩行や移乗、転倒予防、環境調整などを、OTであればADL・IADLや上肢機能、環境調整などを、STであれば摂食嚥下やコミュニケーション支援などを行います。
一方で、勤務時間が短いため、担当する利用者数や会議への参加、書類業務、後輩教育などの役割は常勤より限定される場合があります。
どこまで担当するかはステーションによって違うため、「パートだから訪問だけ」と決めつけないことが大切です。
パート・非常勤の給与はどう決まる?
訪問看護のパート求人を見ると、給与の表示方法は大きく分けて「時間給」と「訪問件数に応じた給与」があります。
時給制
時給制では、勤務した時間に対して給与が支払われます。
たとえば9時から16時まで勤務する場合、休憩時間を除き、訪問だけでなく、業務として行う移動や記録、情報共有なども労働時間として考えます。
一般的なパート勤務に近く、毎月の収入を予測しやすいことがメリットです。
時給は地域や経験、担当する業務、事業所の給与体系によって異なります。求人を比較する際は、募集時点の金額と支給条件を確認しましょう。
求人票の金額は、その求人の条件です。「訪問看護のパートなら時給○円」と一律に考えず、自分が応募する職場の条件を確認することが大切です。
1件・1訪問ごとに給与が決まる場合
ステーションによっては、訪問1件ごとに金額を設定し、件数に応じて給与を計算する場合があります。
60分訪問で○円、40分訪問で○円というように、実際に訪問した件数に応じて給与が決まる仕組みです。
訪問単価だけを見ると時給制より高く見える場合がありますが、注意したいのは「訪問していない時間がどう扱われるか」です。
たとえば30分の業務上の移動、60分の訪問、20分の記録が必要なら、訪問時間だけでなく、その一連の業務に要する時間を踏まえて条件を比較します。雇用されて働く場合、件数制でも、使用者の指揮命令下で行う移動・記録等は労働時間に当たります。
そのため、件数制の求人では1件あたりの金額だけでなく、移動、記録、会議、書類作成を含む労働時間の把握方法と、給与の計算方法を確認する必要があります。出来高払制でも労働時間に応じた保障給や最低賃金に関するルールが適用されます。
「時給が高い求人」が必ずしも高収入とは限らない
訪問看護のパート求人を比較するときに最も注意したいのが、表示された時給だけで判断することです。
仮の計算例として、時給1,700円の求人と、60分訪問1件3,000円の求人を考えてみます。訪問1件の金額と時給は、対象となる時間が異なるため、そのままでは比較できません。
1件3,000円で、移動や記録も含む労働時間が90分なら、単純計算では1時間当たり2,000円です。ただし、ほかの業務時間や手当、保障給なども確認し、実際の勤務全体で比較する必要があります。
さらに、訪問看護では利用者さまの入院や体調不良、予定変更などによって訪問がキャンセルになることがあります。
件数制の場合、キャンセルされた訪問の給与が支給されるのか、別の業務へ振り替えられるのかによって月収の安定性も変わります。
給与を比較するときは「いくらもらえるか」だけではなく、「どの時間に対して給与が発生するか」を見ることが重要です。
移動時間と記録時間は給与に含まれる?
訪問看護では、リハビリを行っている時間以外にも業務があります。
利用者さま宅への移動、電子カルテへの記録、看護師への報告、計画書や報告書の作成、カンファレンスなどです。
時給制・件数制のどちらでも、使用者の指揮命令下にある時間を労働時間として把握することが基本です。件数制では、訪問以外の業務分を含めてどのように給与を計算するのかを確認しましょう。
たとえば「1件4,000円」という求人でも、その4,000円に訪問以外の業務を含むのか、記録や会議について別途時給が支払われるのかで条件は大きく変わります。
求人票だけでは判断できない場合は、面接時に「訪問と訪問の間の移動時間や、記録をしている時間はどのような給与計算になりますか」と具体的に確認しましょう。
常勤ではあまり意識しなかった部分ですが、パート・非常勤では月収に直接影響する重要なポイントです。
訪問キャンセル時の給与も確認する
訪問看護では、予定していた利用者さまが入院したり、当日の体調によって訪問が中止になったりすることがあります。
時給制であれば、勤務時間中にキャンセルが発生しても、記録整理や他の業務を行うことで給与に影響しないケースがあります。
件数に応じた給与では、訪問の減少が収入に影響する場合があります。ただし、件数制だからキャンセル時は必ず無給というわけではありません。
別の訪問や事務作業に振り替える場合の賃金に加え、勤務自体が取り消される場合の扱いも確認しましょう。使用者側の事情による休業に当たるかどうかなど、具体的な状況によって休業手当の検討が必要になる場合があります。
勤務日数や担当件数が少ない場合は、数件のキャンセルでも予定収入との差が気になることがあります。月収の見込みは、キャンセル時の扱いも含めて確認しましょう。
安定した収入を重視する方は、キャンセル時の扱いまで確認しておいた方が安心です。
週何日から働ける?
訪問看護のパート・非常勤では、週2〜3日程度から募集している求人があります。
ただし、「週1日ならどのステーションでも働ける」というわけではありません。
訪問リハビリは、同じ利用者さまを継続して担当するケースが多いため、勤務できる曜日が少なすぎると担当できる利用者が限られることがあります。
たとえば毎週火曜日に勤務できるのであれば、火曜日の定期訪問を担当できます。一方、「毎週勤務できる曜日が変わる」という働き方では、固定の利用者さまを担当しにくいことがあります。
そのため、パート求人では勤務日数だけでなく、曜日固定が必要なのか、シフト制なのかも確認しましょう。
子どもの行事や家庭の予定などで休みが必要な場合、スタッフ間で訪問を代行できる体制があるかも働きやすさに影響します。
1日何時間・何件くらい働く?
パートだから必ず短時間というわけではありません。
働き方の例として、週3日・1日8時間、週4日・9時から15時、午前中に2〜3件の訪問などが考えられます。実際に選べる日数・時間・件数は求人によって異なります。
重要なのは、契約上の勤務時間だけではなく、その時間内で何件訪問することを想定しているかです。
たとえば9時から15時までの6時間勤務でも、訪問4件に加えて移動と記録があれば、余裕のあるスケジュールとは限りません。
反対に3件程度で記録時間も確保されている職場なら、家庭との両立がしやすい場合があります。
「15時まで勤務できます」と伝えるだけではなく、15時までに記録を終えて退勤できるのかまで確認しましょう。
パート・非常勤と常勤の違い
仕事内容そのものには共通点が多い一方、働き方には違いがあります。
| 比較項目 | パート・非常勤 | 常勤 |
|---|---|---|
| 勤務日数 | 週数日など調整しやすい | 週5日前後が中心 |
| 勤務時間 | 短時間勤務を選べる場合がある | フルタイム中心 |
| 給与 | 時給制・件数制など | 月給制が中心 |
| 賞与 | 支給の有無・金額は職場による | 支給の有無・金額は職場による |
| 担当利用者 | 勤務曜日に合わせて限定される場合がある | 幅広く担当しやすい |
| 会議・管理業務 | 限定されることがある | 担当する機会が多い |
| キャリア | 働き方を優先しやすい | 管理職・リーダー等を目指しやすい |
パートの最大のメリットは、勤務時間や日数を調整しやすいことです。
一方、勤務時間が短い分、利用者さまの急な予定変更に対応しにくかったり、カンファレンスや研修の時間と勤務時間が合わなかったりすることがあります。
常勤の場合は収入が安定しやすく、利用者さまを継続的に担当しやすい一方、勤務日数や時間の自由度は低くなります。
どちらが良いかではなく、今の生活と今後のキャリアで何を優先するかによって選ぶことが大切です。
パートでも有給休暇はある?
「パートには有給がない」と思っている方もいますが、雇用形態だけで年次有給休暇の対象外になるわけではありません。
厚生労働省によると、パートタイム労働者も、雇い入れから6ヶ月継続して勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤するなどの要件を満たせば、年次有給休暇の対象になります。
付与日数は、週の所定労働時間や所定労働日数などによって決まります。週の勤務日数が少なくても、所定労働時間によっては通常の労働者と同じ日数が付与されます。
訪問看護では固定曜日で利用者さまを担当することもあるため、有給取得時に誰が代行するのか、休みを申請しやすい体制かも確認しておくと安心です。
制度上有給があることと、実際に取得しやすい職場かどうかは別の問題です。
社会保険はパートでも加入できる?
パート・非常勤でも、一定の条件を満たせば健康保険・厚生年金などの社会保険の加入対象になります。
社会保険への加入は、通常の労働者との所定労働時間・日数の比較や、短時間労働者の適用要件などにより判断されます。勤務先の企業規模等も関係するため、勤務日数だけでは決まりません。
そのため、「週3日なら入れない」「パートなら扶養のまま」と一律に判断することはできません。
特に週20時間前後で働く予定の方は、勤務先が社会保険の適用対象になるかを応募時に確認しましょう。
扶養内で働きたい場合も、時給だけでなく週の勤務時間や年間の収入見込みを踏まえて勤務条件を決める必要があります。
制度は改正されるため、加入可否は応募時点の日本年金機構の案内と勤務先で確認してください。この記事の制度確認日は2026年10月26日です。扶養の扱いも含めた個別判断は、加入する健康保険や社会保険労務士などに確認することをおすすめします。
パート・非常勤が向いているPT・OT・ST
パート・非常勤という働き方は、単に「常勤より楽に働きたい人」のためのものではありません。
子育てや家族の介護と仕事を両立したい方、長いブランクから段階的に臨床へ戻りたい方、副業や別の仕事と組み合わせたい方などにとって、有力な選択肢になります。
また、いきなり週5日で訪問看護へ転職することに不安があり、まずは週数日から在宅分野を経験したいという方にも向いています。
ただし、訪問未経験で勤務日数が少なすぎると、経験を積むまでに時間がかかることがあります。
週1日だけ勤務して毎回違う利用者さまを担当するより、一定の曜日に継続して勤務し、同じ利用者さまを担当できる方が、訪問看護の流れを覚えやすい場合があります。
パート求人では「実際の1日」を聞いてみよう
求人票に「週2日からOK」「時給2,000円」などと書かれていても、それだけでは実際の働き方はわかりません。
面接では、たとえば9時から15時まで勤務した場合に何件程度を訪問するのか、その日の記録は何時までに終わるのかを聞いてみましょう。
さらに、利用者さまがキャンセルした場合の給与、移動時間の扱い、計画書や報告書をいつ作成するのか、カンファレンスへの参加が必要なのかまで確認すると、求人条件の実態が見えてきます。
パートの場合は、勤務時間外に記録や連絡を行うことがないかも重要です。
「短時間勤務を選んだのに、帰宅後に記録や連絡をする」という状態では、実際の拘束時間が想定より長くなってしまいます。
常勤への変更も視野に入れておく
現在はパート勤務を希望していても、数年後に家庭環境が変わり、勤務時間を増やしたくなることがあります。
その場合、同じステーションで常勤へ変更できれば、利用者さまや職場環境を理解した状態でキャリアを広げられます。
将来的に常勤へ戻る可能性がある方は、パートから常勤への登用実績や、勤務日数を段階的に増やせるかを確認しておくのもよいでしょう。
反対に、管理職やリーダー職を早く目指したい場合は、最初から常勤の方が経験を積みやすいケースもあります。
今の働きやすさだけではなく、3年後、5年後にどのような働き方をしたいかまで考えると、雇用形態を選びやすくなります。
まとめ:時給より「給与が発生する範囲」を確認しよう
訪問看護では、PT・OT・STがパート・非常勤として働くことも可能です。
週数日や短時間勤務を選べる職場があり、子育てや介護、ブランクからの復職、副業などと両立しやすい働き方になることがあります。
一方、給与体系はステーションによって異なります。
特に訪問件数に応じて給与が決まる求人では、表示された1件あたりの金額だけを見るのではなく、移動や記録、会議、キャンセル時の給与まで確認することが重要です。
また、同じ「週3日勤務」でも、1日に何件訪問するか、記録を勤務時間内に終えられるかによって負担は変わります。
パート・非常勤を選ぶときは、時給や勤務日数だけではなく、実際の1日の働き方を具体的に確認しましょう。
自分の生活に合った勤務時間で無理なく続けられることが、訪問看護で長く働くための重要な条件になります。
パート・非常勤で訪問看護へ転職したいPT・OT・STの方へ
はじめての訪問看護では、訪問看護・訪問リハへの転職を検討しているPT・OT・ST向けに、現役の訪問看護セラピストが転職相談を行っています。
パート求人では、求人票に書かれた時給や勤務時間だけでは、実際の訪問件数や移動時間、記録時間、キャンセル時の給与まで判断できないことがあります。
現在の生活や希望する勤務日数、将来的に常勤へ戻る可能性なども整理しながら、自分に合うステーションを一緒に考えます。
まだ転職すると決めていない段階でも相談できます。
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