訪問看護ステーションと訪問リハビリテーション、PT・OT・STが転職するならどっち?仕事内容・働き方の違いを比較

訪問看護ステーションと訪問リハビリテーション、PT・OT・STが転職するならどっち?仕事内容・働き方の違いを比較

当サイトでは、訪問看護ステーションからPT・OT・STが利用者さまの自宅へ訪問して行うリハ職業務を「訪問看護(訪問リハ)」と表記しています。

同じ「利用者さまの自宅でリハビリを行う仕事」でも、勤務先が訪問看護ステーションなのか、訪問リハビリテーション事業所なのかによって、組織の中での立ち位置や一緒に働く職種、仕事の進め方には違いがあります。

求人を探していると、「訪問看護ステーションのPT・OT・ST」と「訪問リハビリテーションのPT・OT・ST」が並んで表示されることがあります。利用者さまの自宅を訪問するという点では似ていますが、転職先として比較するなら、仕事内容だけでなく「どのような組織に所属し、誰と相談しながら働くのか」まで見ておくことが大切です。

この記事では制度の細かな違いを解説することよりも、PT・OT・STが転職先を選ぶという視点から、訪問看護ステーションと訪問リハビリテーションの違いを比較します。

結論:どちらが上ではなく、働きたい環境で選ぶ

訪問看護ステーションと訪問リハビリテーションのどちらが、PT・OT・STにとって優れているということはありません。

大きく分けると、訪問看護ステーションでは看護職を中心としたチームの中でPT・OT・STが利用者さまのリハビリを担当します。一方、訪問リハビリテーションでは、病院や診療所、介護老人保健施設などを基盤として、医師とPT・OT・STがリハビリテーション計画に基づいてサービスを提供します。

どちらも利用者さまの自宅を訪問し、生活環境に合わせたリハビリを行う点は共通しています。

そのため、転職先を選ぶときは「訪問看護と訪問リハのどちらが良いか」という二択で考えるよりも、自分がどのような職種と働きたいのか、どのような利用者さまに関わりたいのか、リハ職へ相談しやすい環境を求めるのか、看護師との連携を重視するのか、といった希望から考えた方が自分に合う職場を見つけやすくなります。

訪問看護ステーションと訪問リハビリテーションの基本的な違い

まずは、転職先を比較するために最低限知っておきたい違いを整理します。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、看護師などが利用者さまの自宅を訪問し、療養生活を支える事業所です。

PT・OT・STを配置することもでき、厚生労働省の基準では、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は事業所の実情に応じた適当数を配置するとされています。一方、看護職員については常勤換算で2.5人以上の配置が必要です。

つまり、PT・OT・STが多く在籍しているステーションであっても、制度上は「訪問看護」の事業所です。

PT・OT・STが行う訪問についても、看護職と連携しながら訪問看護計画書や訪問看護報告書の中に位置づけられます。

訪問リハビリテーション

介護保険制度上の訪問リハビリテーションは、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院などを基盤として提供されます。

指定訪問リハビリテーション事業所には医師に加え、PT・OT・STのいずれかの配置が必要です。医師の指示と訪問リハビリテーション計画に基づいてサービスを提供します。

計画を作成するときには、利用者さまの病状や心身の状態だけでなく、本人の希望や生活環境なども踏まえて支援内容を考えます。

転職目線で比較すると

比較項目訪問看護ステーション訪問リハビリテーション
主な事業基盤訪問看護ステーション病院・診療所・老健・介護医療院など
組織の中心看護職医師・リハ職
PT・OT・ST必須配置ではないいずれかの職種が必要
主な計画訪問看護計画訪問リハビリテーション計画
日常的に連携する職種看護師、主治医、ケアマネ等医師、PT・OT・ST、ケアマネ等
利用者宅への訪問ありあり
生活環境に合わせたリハありあり

ただし、実際の職場環境は事業所によって大きく異なります。この表だけで転職先を判断するのではなく、実際のスタッフ構成や教育体制まで確認することが重要です。

PT・OT・STの仕事内容そのものは大きく変わる?

利用者さまの自宅で行うリハビリという意味では、訪問看護ステーションと訪問リハビリテーションで共通する仕事が多くあります。

PTであれば、起き上がりや立ち上がり、移乗、歩行などの動作練習や転倒予防に関わります。OTであれば、食事、更衣、入浴などの日常生活動作だけでなく、調理や買い物などの生活行為、福祉用具や住環境の調整にも関わります。STであれば、言語やコミュニケーション、摂食嚥下などを支援します。

また、職種を問わず、家族への介助方法の助言やケアマネジャーなど他職種との情報共有も重要な仕事です。

そのため、「訪問看護だからこの訓練をする」「訪問リハビリテーションだからこの訓練をする」と単純に分けられるものではありません。

転職先として違いが出やすいのは、リハビリの内容そのものより、どの職種と相談しながら仕事を進めるのか、組織の中でPT・OT・STがどのような役割を期待されているのかという部分です。

訪問看護ステーションで働くPT・OT・STの特徴

看護師との連携が日常的になる

訪問看護ステーションでは、看護師と同じ事業所で利用者さまを支えます。

たとえば、リハビリ中に血圧や脈拍が普段と違う、呼吸状態が変化している、食事量が減っている、浮腫が強くなったなどの変化に気づくことがあります。

訪問中はPT・OT・STが一人でも、ステーションへ戻ったあとや連絡ツールを通じて看護職へ情報共有し、対応を相談できます。

特に、病状が変化しやすい利用者さまや医療的管理が必要な方に関わる場合は、看護師との距離が近いことが働きやすさにつながることがあります。

病院では医師や看護師が近くにいる環境が当たり前だった方でも、在宅へ出ると一人で判断する場面が増えます。その中で、相談できる看護師が同じ組織にいることを心強く感じる方もいるでしょう。

身体機能だけでなく療養生活全体を見る機会が増える

訪問看護では、看護師が体調管理、服薬、医療処置、療養相談などにも関わっています。

PT・OT・STもそうした情報を共有することで、身体機能だけではなく利用者さまの療養生活全体を見ながらリハビリを考えやすくなります。

たとえば「もう少し長く歩けるようになりたい」という希望があったとしても、心不全の状態や服薬、食事量、睡眠、家族の介助力などによって適切な支援方法は変わります。

機能訓練だけではなく、病状や生活全体を含めて利用者さまを見たい人にとっては、訪問看護ステーションの環境が合う可能性があります。

リハ職の人数は職場によって大きく異なる

訪問看護ステーションではPT・OT・STの配置が必須ではないため、職種構成にはかなり差があります。

看護師が多くリハ職が一人だけというステーションもあれば、PT・OT・STがそれぞれ複数人在籍し、リハ部門のような体制をつくっているステーションもあります。

特に訪問未経験で転職する場合は、「リハスタッフ在籍」という求人票の表現だけでは十分ではありません。

自分と同じ職種が何人いるのか、困ったときに誰へ相談できるのか、入職後にどのくらい同行してもらえるのかまで確認した方が、働き始めてからのギャップを減らせます。

訪問リハビリテーションで働くPT・OT・STの特徴

リハビリテーションが事業の中心にある

訪問リハビリテーションでは、PT・OT・STのいずれかの配置がサービス提供に必要です。

医師とPT・OT・STが訪問リハビリテーション計画を作成し、その計画に沿ってリハビリを行います。

病院や診療所が運営している場合は、訪問部門だけでなく外来や入院リハビリを行っていることがあります。介護老人保健施設であれば、入所や通所リハビリテーションを運営している場合もあります。

そのため、法人によってはリハビリ部門として組織化されており、PT・OT・ST同士で相談しやすい環境があります。

病院勤務から初めて在宅分野へ移る方にとっては、同職種のスタッフが多い環境の方が馴染みやすいこともあるでしょう。

医師との関係が制度上わかりやすい

訪問リハビリテーションでは、医師の診療や指示、訪問リハビリテーション計画との関係が制度上明確です。

病院勤務で、医師の診療方針やリハビリテーション計画を確認しながら仕事を進めてきた方にとっては、これまでの働き方から大きく離れずに在宅分野へ移りやすい場合があります。

一方で、実際に医師とどの程度直接やり取りするのかは職場によって異なります。

「病院が運営しているから医師へすぐ相談できる」と決めつけず、具体的な情報共有の方法を見学や面接で確認することが大切です。

病院・施設との連続性を活かせる場合がある

病院や老健が運営する訪問リハビリテーションでは、その法人内の医療・介護サービスと連携しているケースがあります。

入院中にリハビリを担当した方が退院後に訪問リハビリテーションを利用するなど、病院から在宅まで継続して支援できることもあります。

また、法人内の研修や症例検討に参加できる職場であれば、訪問だけでは得にくい知識や症例に触れられる可能性もあります。

ただし、こうした環境はすべての訪問リハビリテーションに共通するわけではありません。法人規模や運営方針による違いが大きいため、求人ごとの確認が必要です。

利用者層に違いはある?

「訪問看護は重症者が多く、訪問リハビリテーションは軽症者が多い」と単純に分けることはできません。

どちらも、自宅で生活している利用者さまの身体機能や生活能力を支援します。

ただし訪問看護ステーションは、看護サービスとして神経難病やがん・終末期、在宅酸素や人工呼吸器を使用している方など、医療的管理が必要な利用者さまを受け入れていることがあります。

そのようなステーションでは、PT・OT・STも医療依存度の高い方に関わる機会が増える可能性があります。

一方、訪問リハビリテーションでは、通院が難しく、自宅での生活機能の維持・回復が必要な方にPT・OT・STが関わります。

ただし、実際に多い疾患や要介護度は事業所ごとに異なります。

転職先を比較するときは「訪問看護だから」「訪問リハだから」と想像するより、脳血管疾患、整形外科疾患、神経難病、認知症、呼吸器疾患、小児、終末期など、実際にどのような利用者さまが多いのかを確認した方が確実です。

給与は訪問看護ステーションの方が高い?

給与についても、「訪問看護ステーションだから高い」「訪問リハビリテーションだから低い」と一律には判断できません。

訪問看護ステーションの求人では、一定の訪問件数を超えた場合にインセンティブを支給する給与体系を採用していることがあります。そのため、訪問件数によって年収が大きく変わる求人もあります。

一方、病院や老健などが運営する訪問リハビリテーションでは、法人全体の給与規程に基づき、経験年数や役職などによって給与が決まる場合があります。

ここで注意したいのは、求人票に表示された年収だけを比較しないことです。

同じ年収450万円でも、勤務時間内に無理なく訪問を終えられる職場と、高い訪問件数をこなしてインセンティブを得ることで450万円になる職場では、実際の働き方は大きく違います。

給与を比較するときは、基本給や賞与だけでなく、1日の訪問件数、インセンティブの条件、記録時間、固定残業代なども確認すると、より実態に近い比較ができます。

教育体制はどちらが充実している?

訪問リハビリテーションでは、病院や老健などを基盤として多くのPT・OT・STが所属している場合、同職種へ相談しやすい環境があります。

しかし、それだけで「訪問リハビリテーションの方が教育体制が充実している」とは言えません。

訪問看護ステーションの中にも、PT・OT・STを多数採用し、同行訪問、症例検討、研修制度、独り立ちまでの教育プログラムを整えている職場があります。

反対に、病院や老健が母体でも、訪問部門のスタッフが少なく、入職後すぐに一人で訪問する職場もあり得ます。

未経験者の場合はサービスの種類よりも、最初の同行訪問がどのくらいあるのか、独り立ちの基準があるのか、訪問後に相談できる人がいるのか、最初から何件程度を担当するのかまで確認する方が重要です。

訪問看護ステーションが向いているPT・OT・ST

訪問看護ステーションは、看護師と日常的に情報交換しながら、利用者さまの病状や療養生活まで含めてリハビリを考えたい人に向いています。

神経難病、終末期、呼吸器疾患など、看護との連携が特に重要な利用者さまに関心がある人にとっても、経験を積みやすい可能性があります。

また、比較的小規模なステーションでは、管理者や他職種との距離が近く、業務改善や新しい取り組みに関われることもあります。

ただし、小規模だから必ず自由に働ける、相談しやすいという意味ではありません。人数が少ない分、教育体制が十分でない場合もあるため、実際の職場環境を見ることが大切です。

訪問リハビリテーションが向いているPT・OT・ST

訪問リハビリテーションは、PT・OT・STが多い環境で働きたい人や、同職種と相談しながら専門性を高めたい人に向いている場合があります。

病院や施設での働き方に慣れていて、医師の診療方針やリハビリテーション計画との関係が明確な環境を好む人にも馴染みやすいでしょう。

また、病院勤務からいきなり小規模な訪問看護ステーションへ転職することに不安がある場合、現在の勤務先に近い組織構造を持つ訪問リハビリテーションから在宅分野へキャリアを広げる方法もあります。

重要なのは、制度の特徴だけで自分に向いていると判断せず、実際のスタッフ構成や働き方まで確認することです。

未経験ならどちらを選ぶべき?

訪問未経験であれば、「訪問看護か訪問リハビリテーションか」だけで転職先を決める必要はありません。

たとえば、訪問看護ステーションでもPT・OTが複数人在籍し、入職後1ヶ月程度の同行訪問があり、定期的に症例検討を行っている職場なら、未経験者でも学びやすい可能性があります。

反対に、訪問リハビリテーションであっても、訪問担当のリハ職が少なく、十分な同行期間がない職場なら、一人で判断する負担を感じることがあります。

つまり、未経験者にとって重要なのはサービス種別ではなく、入職後にどのように仕事を覚えるのかが具体的に見える職場かどうかです。

面接や見学では、リハ職の人数、最初に担当する利用者さま、同行訪問の進め方、独り立ち後の相談方法などを具体的に聞いてみましょう。

求人・見学では「実際の1日」を聞いてみよう

訪問看護ステーションと訪問リハビリテーションを比較するときは、条件を一項目ずつ質問するだけでなく、「入職した場合の1日の流れ」を聞くと実態が見えやすくなります。

たとえば、朝はどこへ出勤し、午前中に何件訪問し、昼休憩をどこで取り、記録はいつ書き、困ったときは誰へ相談するのかを確認します。

さらに、入職後1ヶ月程度はどのように担当利用者が増えていくのか、カンファレンスや研修は勤務時間内に行われるのかも聞いてみましょう。

こうした質問をすると、求人票に書かれた「教育体制充実」「多職種連携」「残業少なめ」といった言葉だけではわからない、実際の働き方が見えてきます。

給与や年間休日といった条件も重要ですが、毎日の訪問件数や移動範囲、相談のしやすさは、入職後の働きやすさに直接影響します。

まとめ:サービス名より「実際の職場」を比較しよう

訪問看護ステーションと訪問リハビリテーションは、どちらもPT・OT・STが利用者さまの自宅へ訪問し、生活に合わせたリハビリを提供する仕事です。

一方、所属する組織には違いがあります。

訪問看護ステーションでは、看護職を中心としたチームの中でPT・OT・STが働きます。訪問リハビリテーションでは、病院や診療所、老健、介護医療院などを基盤として、医師とPT・OT・STがリハビリテーション計画に基づいてサービスを提供します。

ただし、実際の働きやすさを決めるのは制度だけではありません。

同じ訪問看護ステーションでも、リハ職が一人だけの職場とPT・OT・STが多数在籍する職場では働き方が違います。同じ訪問リハビリテーションでも、同行訪問や教育が充実した職場もあれば、早い段階から一人で訪問する職場もあります。

転職するときはサービス名だけで判断せず、自分がどのような利用者さまに関わりたいのか、誰と相談しながら働きたいのか、どのような経験を積みたいのかを整理したうえで、実際の職場環境を比較しましょう。

自分にはどちらが合うのか迷っているPT・OT・STの方へ

はじめての訪問看護では、訪問看護・在宅リハへの転職を検討しているPT・OT・ST向けに、現役の訪問看護セラピストが転職相談を行っています。

求人票だけでは、看護師との連携の仕方やリハ職の人数、教育体制、実際の訪問件数などはわかりにくいものです。

これまでの病院・施設での経験や、今後身につけたいスキル、希望する働き方を整理しながら、自分に合う転職先を一緒に考えます。

まだ転職すると決めていない段階でも相談できます。

訪問看護ステーションと訪問リハビリテーションのどちらが自分に合うのか迷っている方は、LINEから気軽にご相談ください。

参考・参照情報

この記事を監修した人

監修者 理学療法士 横山 晋平

監修者

横山 晋平

理学療法士

専門分野

神経疾患(脳卒中、パーキンソン病等の神経難病)、徒手療法、インソール、摂食・嚥下理学療法、回復期リハビリテーション、生活期リハビリテーション

監修者

理学療法士 横山 晋平

専門分野:神経疾患(脳卒中、パーキンソン病等の神経難病)、徒手療法、インソール、摂食・嚥下理学療法、回復期リハビリテーション、生活期リハビリテーション

プロフィール:2009年 学校法人岩崎学園 横浜リハビリテーション専門学校 理学療法学科 卒業 同年   医療法人 五星会 新横浜リハビリテーション病院 入職 2010年 医療法人 三星会 大倉山記念病院 異動 2015年 医療法人社団巨樹の会 蒲田リハビリテーション病院 2020年 日本理学療法士協会 認定療法士(脳卒中) 取得 2021年 メディカルライナーズ訪問看護ステーション 入職 2025年  一般社団法人 日本臨床改新協会 代表理事 就任

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