「紹介会社を使って転職したけど、3ヶ月で辞めてしま
「面接で聞いていた話と、実際の職場が全然違った…」
こうした声は、訪問看護・訪問リハに転職したPT・OT・STから少なくありません。
厚生労働省が2026年3月10日に公表した「医療等分野における雇用仲介事業に関する調査研究事業」報告書は、この問題の深刻さをデータで裏付けました。
紹介会社経由で就職したリハ職の6ヶ月以内離職率は、介護分野で15.00%。紹介会社を使わずに就職した場合の5.26%と比べ、約2.9倍も高い──この衝撃的な数字が示すのは、人材紹介業界の構造的な課題です。
この記事では、厚労省調査のデータをもとに、なぜ紹介会社経由だと離職率が高いのか、その構造的要因と、PT・OT・STが後悔しない転職を実現するための解決策を解説します。
厚労省調査が明らかにした衝撃の数字
厚生労働省が2025年6月〜10月に実施した大規模調査は、医療・介護・保育の3分野、約30,000事業所を対象としたものです。
この調査で、リハビリ専門職(PT・OT・ST)の採用市場が、他職種と大きく異なる構造を持つことが裏付けられました。
紹介会社経由の離職率は、非紹介経由の約3倍
調査結果で最も衝撃的だったのは、紹介会社経由で就職したリハ職の離職率の高さです。
病院(医療分野)
- 紹介会社経由の6ヶ月以内離職率:5.80%
- 非紹介経由の6ヶ月以内離職率:1.49%
- 倍率:約3.9倍
介護分野(訪問看護含む)
- 紹介会社経由の6ヶ月以内離職率:15.00%
- 非紹介経由の6ヶ月以内離職率:5.26%
- 倍率:約2.9倍
特に介護分野(訪問看護ステーションを含む)では、紹介会社経由で就職した80人のうち12人が6ヶ月以内に離職。
これは看護師・准看護師の紹介経由離職率14.38%とほぼ同水準ですが、非紹介経由との「倍率の差」がリハ職で大きい点が特徴です。
紹介手数料は1人あたり93〜96万円
離職率の高さに加え、経済的負担も深刻です。
・病院がリハ職1人を紹介会社経由で
・介護施設の場合:平均95.8万円
これは看護師・准看護師(病院87.3万円、介護78.7万円)を上回り、医療・介護の現場職種の中でも高い水準です。
手数料率は決定年収の20〜30%が約8割を占めており、年収400万円のセラピストなら80万円前後が紹介会社に支払われる計算になります。
施設の97.8%が「手数料は高い」と回答
病院では「経営上大きな負担で料金が高い」が75.2%、「大きな負担とまではいかないが高い」が22.6%で、合計97.8%が「高い」と回答。
介護分野でも97.6%が同様の認識を示しました。
さらに深刻なのは、紹介会社経由で早期離職が発生した後の対応です。
「そのまま欠員になってしまった」と回答した施設は、病院53.5%、介護54.6%。
返戻金についても「返戻金はなかった」が16〜17%、「手数料の25%未満」が最多(約38%)で、早期離職時の経済的ダメージは施設側に重くのしかかります。
なぜ訪問看護では紹介会社依存度が高いのか

病院と介護(訪問看護含む)では、リハ職の採用構造が大きく異なります。
病院は養成校経由が主流、介護は紹介会社依存
病院でリハ職を採用した1,365人の内訳
- 有料紹介経由:16.5%
- 養成校経由・縁故・直接募集など:74.9%
介護施設でリハ職を採用した175人の内訳
- 有料紹介経由:45.7%
- 養成校経由・縁故・直接募集など:54.3%
病院では4人に3人が紹介会社を使わずに採用されているのに対し、介護分野では半数近くが紹介会社経由です。
なぜ訪問看護ステーションは紹介会社に頼るのか
この差が生まれる理由は3つあります。
理由① 養成校との接点が薄い
病院は養成校との関係が強く、新卒採用のルートが確立されています。
養成校経由の利用率は病院51.3%に対し、介護は9.6%。
訪問看護ステーションは新卒の就職先として選ばれにくく、養成校からの直接採用が難しいのです。
理由② 知名度・認知度が低い
大規模病院と違い、訪問看護ステーションは地域密着型の小規模事業所が多く、求人を出しても応募が集まりにくい現実があります。
理由③ 採用ノウハウ・リソース不足
訪問看護ステーションは管理者が看護師1名、セラピスト数名という小規模体制が多く、採用活動に十分なリソースを割けません。
結果として、「紹介会社に頼らざるを得ない」状況が生まれています。
高離職率の構造的要因──訪問看護の実態を知らないアドバイザー
では、なぜ紹介会社経由だと離職率が高いのでしょうか?
その最大の要因は、「訪問看護・訪問リハの実態を理解していないアドバイザーが転職支援をしている」ことです。
要因① 訪問看護の業務実態を理解していない
多くの人材紹介会社のキャリアアドバイザーは、訪問看護・訪問リハの現場経験がありません。
・1日の訪問件数
・移動時間
・記録時間の負担
・一人で訪問する際の判断の難しさ
・利用者・家族との人間関係
・教育体制の有無
こうした「現場のリアル」を理解せずに、求人票の給与・休日だけを見て「この求人、良いですよ」と提案してしまいます。
要因② ミスマッチを防ぐ情報提供ができていない
厚労省調査でも、就職者が紹介事業者に求める要望の最多は「求人元の詳しい情報を提供してほしい」(病院36.2%、介護31.5%)でした。
求人の「量」ではなく、職場環境や実際の働き方といった「質」の高い情報が求められているのに、多くの紹介会社はそれに応えられていません。
要因③ 成約至上主義の弊害
紹介会社のビジネスモデルは「成約時に手数料を得る」仕組みです。
そのため、求職者の本当の適性や希望よりも、「早く決めてもらう」ことが優先されがちです。
「この求人、競争率高いので早く決めた方がいいですよ」
「給与が良いので、少しくらい条件が合わなくても大丈夫ですよ」
こうした成約優先の姿勢が、ミスマッチを生み、早期離職につながります。
要因④ 入職後のフォローがない
紹介会社は入職後のフォローが手薄です。
入職後に「思っていたのと違った」と感じても、相談できる相手がおらず、孤立して離職に至るケースが少なくありません。
解決策としての「現役セラピストによる相談」の重要性

では、どうすれば後悔しない転職を実現できるのでしょうか?
その答えは、「訪問看護・訪問リハの現場を知っている現役セラピストに相談すること」です。
現役セラピストによる相談が重要な理由
理由① 訪問看護の「リアル」を伝えられる
現役セラピストは、訪問看護・訪問リハの現場を肌で知っています。
・1日のスケジュールの実態
・移動時間・記録時間の負担
・教育体制の有無
・利用者
・家族との人間関係 ・ステーションごとの働き方の違い
こうした「求人票には載っていない情報」を、リアルに伝えることができます。
理由② ミスマッチを防げる
現役セラピストだからこそ、求職者の経験・スキル・希望に合ったステーションを提案できます。
・未経験者には教育体制が整ったステーション
・時短希望者には訪問件数4件以下のステーション
・高収入希望者には訪問件数6件のステーション
求職者の「本当の希望」を理解し、適切なマッチングができます。
理由③ 入職後もフォローできる
現役セラピストなら、入職後の悩みにも寄り添えます。
「利用者の急変時にどう対応すればいい?」
「記録業務が溜まってしまう…」
「家族とのコミュニケーションが難しい…」
こうした現場の悩みに、実体験をもとにアドバイスできるのは、現役セラピストだけです。
後悔しない転職を実現するために

厚労省調査が示したのは、紹介会社経由の転職が必ずしも成功につながらないという現実です。
調査から学ぶべき3つのポイント
- 紹介会社経由の離職率は、非紹介経由の約3倍
- 施設側も紹介手数料の高さと早期離職に悩んでいる
- 求職者が求めるのは「職場のリアルな情報」
後悔しない転職のために必要なこと
- 訪問看護・訪問リハの「リアル」を事前に理解する
- 現役セラピストに相談し、ミスマッチを防ぐ
- 複数のステーションを見学・比較する
- 見学・面接で具体的な質問をする
- 入職後も相談できる相手を持つ
訪問看護・訪問リハへの転職は、「どの紹介会社を使うか」ではなく、「誰に相談するか」で決まります。
訪問看護の現場を知らないアドバイザーに任せるのではなく、現役セラピストのリアルな声を聞くことが、後悔しない転職への第一歩です。

